ハイウォールマイニングにおける採掘空洞の安定性に関する研 究
岩盤・開発機械システム工学研究室  4年 望田 浩二

1 はじめに
 ハイウォールマイニングは、露天掘りの石炭鉱山において採掘が終了した残壁(ハイウォール)に未採掘のまま残さ れた大量の石炭の採掘に適用される採炭システムである。
ハイウォールマイニングにおいて用いられる採炭機としては、マイニングシステムによって異なるが、オーガーシステムではオーガーが、Addcarシステム やArchveyorシステムではコンティニュアスマイナが用いられている。特に、Archveyorシステムでは、最先端の種々の技術やシステムの導入 が図られ、ほとんど完全自動化の採炭が行われ、その結果、高い生産性と安全性を上げている。しかしながら、採掘空洞とハイウォールの安定性を確保するため に空洞間に一定幅のピラーを残す必要があり、採掘実収率を大きくできない欠点を有している。
本研究では、ハイウォールマイニングにおける採掘実収率を増大させるための採掘空洞充填の効果について室内試験により種々検討を行った。

2. 実験概要
簡単なピラーモデルを用いて空洞充填によるピラー強度の増加効果を室内試験により検討した。実験は、直径90mm、高さ50mmのモールドの中央部に直径 25mm、高さ50mmに整形した相浦砂岩を設置し、その周辺にフライアッシュセメントを表1に示した高さで充填した供試体を28日間養生し一軸圧縮試験 を行った。なお、この相浦砂岩を鉱山のピラーと想定し、相浦砂岩にはピーク応力近傍まで除荷−再載荷を繰り返すことにより現場のピラー状態に近づけた。ま た、表1に使用したフライアッシュセメントの配合比試験を示す。

充 填高さ(o)
25     40    50
C: F:W(重量比)
10: 0:5   5:5:5  1:9:5

3. 結果および考察
図1は、各配合比における充填高さと充填前後の圧縮強度の比の値である。充填高さが50cmの場合には、どの配合比においても圧縮強度は充填前に比べて増 加していることが分かり、モデルピラーの周りを充填材で充填した効果が現れていると考えられる。しかし、充填高さが25および40cmの場合には顕著な強 度向上効果は現れていない。このことから、充填高さは50cmが最適で、25cm、40cmでは充分ではないことが分かる。また、充填材の配合比について 見てみるとC:F:W=5:5:5すなわち、フライアッシュ代替量が5割以下の配合比が強度向上効果を発揮することが分かる。したがって、採掘空洞におい てピラーの周りを充填する場合は、ピラーに相当する高さにフライアッシュ代替量が5割以下の充填材で充填した場合に強度向上効果が期待できる。


図1 充填高さと充填前後の圧縮強度比の関係

---------------------------------------------------------------------
Return