発破解体に伴う発破振動の特性に関する研究
岩盤・開発機械システム工学研究室  4年 渡部 仁志

1. はじめに
 近年、不要となった構造物の解体作業に発 破が適用されるようになり、その有用性が認識されつつあるが、発破に対する認識不足により周辺自治体の理解が得られず、未だ発破による解体施工が困難な状 況にある。発破による構造物の解体は、効率的にもコスト的にも極めて有用な工法であるが、発破に伴う振動により周辺環境に甚大な影響を及ぼす可能性があ る。そこで本研究では、発破解体に伴う発破振動特性を把握するために、図1に示すような北海道室蘭市で実施された煙突発破解体現場において発破振動を計測 し、その結果について種々検討した結果について述べる。

              図1 煙突発破解体
測場所および方法
 国のダイオキシン類の規制強化を受け、2002年11月に操業を停止した北海道室蘭市のごみ焼却施設・旧御崎清掃工場の煙突が発破で爆破、解体された。 この発破解体が行われる機会を利用して、発破点から任意に選定した4点(発破点からの距離84m、117m、150m、210m)において発破振動を計測 した。なお、計測に用いた装置は、3軸の加速度センサーを用い、発破開始時間からの重力加速度の変化について求めた。

3. 計測結果およびまとめ
 図1〜4に発破点からの距離と振動加速度の最大値の関係を示す。なお、こ の発破解体の場合には、「発破振動」の他に、鉱山の発破では一般に観測されない「爆風振動」、「建物振動」および「倒壊時振動」を計測した。まず、これま で鉱山で実施してきた発破振動の結果と比較すると、鉱山での発破では岩盤内で起爆するために爆風が観測されず、爆風が発生しないために建物振動も生じない ことが分かった。しかし、今回のような煙突の発破解体では、これらの図より爆風振動に伴う最大加速度が他に比べて最も大きく、この影響が無視できないと考 えられる。



図1 発破振動
図2 爆風振動




図3 建物振動
図4 倒壊時振動
--------------------------------------------------------------------
Return