フライアッシュの微粉砕化によるベントナイト代替物としての 利用に関する研究
岩盤・開発機械システム工学研究室  4年 榎田 光一

1. はじめに
 これまで石炭燃焼火力発電所からでる副次的に生産される大量の石炭燃焼灰の有効利用に関して多くの研究が行われてきた。しかし、その利用度は約75%程 度であり、依然多くの石炭燃焼灰が未利用のため灰捨て場に貯蔵管理され、年々その量も増大し、灰捨て場の確保も困難な状況になりつつある。このような理由 から、石炭燃焼灰の化学的、物理的特性を活かして、ベントナイトなどの粘土の代替物としての利用が図れれば、100%の資源化・利用化が可能となる。

 現在、高レベル放射性廃棄物の地層処分における人工的なバリアーとしてベントナイトを用いる構想があるが、良質のベントナイトを確保することは難しく なってきている。石炭燃焼灰の持つ特徴を利用して、これを微粉砕化することで利用範囲も拡大し、ベントナイトをはじめとする粘土の代替物として、100% 資源化・利用化が可能となると思われる。

 このような観点から、本研究では石炭燃焼灰の中でも特にフライアッシュを取り挙げ、これの微粉砕化によるベントナイト代替物としての利用が可能か否かに ついて検討するために、種々検討を行った。

2.試料および試験方法
 フライアッシュのベントナイト代替物が主に高レベル放射性廃棄物の緩衝材として適用できるか否かについて検討するために、ボールミルによって微粉砕化し たフライアッシュを表1に示す6種類の配合比で試料を作製した。試験方法としては、緩衝材の設計要件に基づき以下の試験を行った。

@石炭灰の微粉砕化・・・粉砕前後での粒度分布・形状の比較
A強度試験・・・地盤に対する力学的緩衝性
B透水試験・・・不透水性の検証
C膨潤試験・・・自己シール性の検証

No. BN(wt%) FA類 総量に対する水比
@BNのみ
100
0
0.2
ABN+FA原粉
50
50
0.2
BBN+FAU種
50
50
0.2
CBN+FA原粉(1:2)
50
50
0.2
DBN+FA原粉(1:5)
50
50
0.2
ただし、 BN:ベントナイト、 FA:フライアッシュ
( )内の数字;粉砕時の試料とボールの重量比

3.まとめ
 強度試験および膨潤試験結果より、力学的緩衝性、膨潤性については、フライアッシュの微粉砕化による効果はほとんど認められなかったが、フライアッシュ による一部代替試料でもベントナイトと同等の効果が発揮されることが分かった。また、透水試験結果より、フライアッシュを微粉砕した試料の透水係数が他に 比べて低下することが分かった。

 これらの結果より、微粉砕化したフライアッシュをベントナイトに一部代替しても緩衝材の機能を維持できることが分かり、今後さらに検討する予定である。

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