石炭ボタを骨材に用いたフライアッシュセメントの特性に関す る研究
岩盤・開発機械システム工学研究室  4年 大屋 二郎

1 はじめに
 近年、石油代替エネルギーとして石炭が再度注目を浴びており、石炭を利用する火力発電等の電力事業における需要が年々増大している。しかし、石炭需要の 増大に伴い火力発電所から排出される石炭灰の処理問題や、石炭鉱山開発に伴い石炭ボタの増加が考えられる。
 そこで本研究では、今後増大するであろうフライアッシュと石炭ボタの有効利用について検討する。すなわち、石炭ボタは夾炭層岩石であり、一般的にスレー キングを起こし、またAMD問題の原因である酸性鉱物を多量に含むと言われているため、石炭ボタの骨材としての利用の可否を検討し、それを用いたフライ アッシュセメントの諸特性を把握する。

2.岩石試料および試験方法
2.1 岩石試料
 本研究に用いた岩石試料は、北海道三美炭鉱における7種類の夾炭層岩石である。

2.2 試験方法
  本研究では、岩石試料およびフライアッシュセメント試料に対して、以下の実験を行った。

@ Slaking Index Text:岩石試料のスレーキング性を把握する。
A XRD・XRF:岩石試料の化学組成を把握する。
B 一軸圧縮試験:フライアッシュセメントの一軸圧縮強度を求 め、施工の適用性を検討する。
試験条件:養生期間・環境、配合比、骨材のサイズ・種類を変化させた。
C 透水試験:フライアッシュセメントの透水係数を求め、施工 の適用性を検討する。
試験条件:骨材のサイズ・種類を変化させた。
D pH・導電率・溶出試験:フライアッシュセメントを施工し た際に考慮しなければならない化学的性質および溶出特性を把握し、施工の適応性を検討する。
試験条件:配合比、試薬を変化させた。

3.まとめ
本研究で用いた岩石試料はスレーキング性を有さず、AMD 問題の原因である酸性鉱物を含んでいないため、骨材として有用であると考えられる。また、リハビリテーションでの埋め戻しを行っても問題ないと考えられ る。
フライアッシュセメントの一軸圧縮強度は、水中養生で養生 期間が長いほど発現される。また、セメント、水の配合量、骨材のサイズが大きな影響を与え、骨材の強度による影響は認められなかった。
フライアッシュセメントの透水係数は、骨材のサイズに依存 されており、骨材のサイズが小さいほど透水性は小さくなる。
フライアッシュセメントの化学的特性および溶出特性は、セ メントの配合比に依存し、その配合比が大きいほどpH、導電率とも高くなり、溶出イオン量が増大する。

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