インドネシア・Berau炭鉱における締め固め廃石を用いたAMD抑制システム
ならびにダンピングサイトの安定設計に関する研究

 
岩盤・開発機械システム工学研究室 修士2年 寺田慶二




 1.はじめに
 露天掘り石炭鉱山であるBerau炭鉱では、夾炭層に黄鉄鉱を含む層が存在し、
熱帯雨林気候の多雨とも相まって鉱山排水の酸性化が顕著となっている。酸性鉱山排水(AMD)対策として、粘土やNon Acid Forming(NAF)廃石をカバー材として用いてPotentially Acid Forming (PAF)廃石を被覆することで、水と酸素がPAF廃石と接触することを防ぐ方法が挙げられるが、当鉱山では採掘廃石に占めるNAF廃石の割合が小さいため、この埋め戻し方法の適用が困難である。
 そこで本研究では、少量のNAF廃石で十分なカバー材の役割を発揮させるために、図1に示すような採掘廃石の締め固めによる難透水層の構築という新たなAMD抑制システムの構築を試みた。
 さらに、当炭鉱では軟弱地盤の存在によるダンピングサイトの崩壊が懸念されることから、軟弱地盤表面に廃石の締め固めによりLayering層を構築することで、ダンピングサイトの安定性の改善を試みた。

 2. 検討項目
まず、締め固めを用いた難透水層の構築によるAMD抑制システムの形成可否について検討するため、現場および室内での各種実験(試料の成分分析、試料の性質分析、含水比測定、締め固め試験による透水係数算定)から廃石の締め固め特性と透水特性の関係について検討した。なお、一連の実験には、Berau炭鉱のダンピングエリアから採取した3種類の廃石試料を用いた。
 次に、Layering層の構築による、軟弱地盤を有するダンピングサイトの安定性改善効果については、二次元有限要素解析コードPhase2を用いて検討した。

 3.結果および考察
 本研究結果を要約すると、まず締め固め試験から80kPa載荷時には全試料とも透水係数が約5.0×10-7(cm/sec)程度まで低下し(図2参照)、NAF廃石を地表から2.0m〜4.0m程度埋め戻せば、その自重の締め固めによって難透水層を構築することが可能であることが示された。
 また、図3より軟弱下盤表面に廃石の締め固めによりLayering層を構築することで、ダンピングサイトの安全性が改善されることが分かった。


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