1. はじめに
発破作業は鉱山や土木の分野で重要な技術として古くから利用されてきた。最近は都市部の構造物解体にも適用が試みられるようになり、改めてその有用性が認識されつつある。しかしながら、発破作業は、法令によって火薬類の利用が制限されていることをはじめ、火薬類に対する危険な印象や振動・騒音・飛石など、他の工法よりも周辺環境に悪影響を及ぼす可能性が高いことが挙げられる。
そこで本研究では、振動・騒音・飛石の中でも比較的広範囲に影響を及ぼす振動に着目し、周辺環境へのインパクトを評価し公共の安全を確保しながら発破作業を効率的に利用するために、振動の伝播特性を把握することを目的とした現場実験および解析を行った。すなわち、石灰石鉱山において発破振動の実測を行うとともに、有限要素法による数値シミュレーションを試み、各種岩盤物性値ならびに岩盤内に存在する挟み層が、爆源から遠方の地点に到達する発破振動にどのように影響を与えるかを種々検討した。なお、挟み層とは岩盤内に存在する異なる物性値を持つ泥質岩や粘土を想定したものである。
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