推進工法を用いたボックスカルバートの敷設に関する解析的研究

 岩盤・開発機械システム工学研究室 修士二年 武藤 翔平

 


1. はじめに
 日本全国には現在、事故危険道路交差点が約4,000箇所存在するとされ、これら交差点における交通事故対策や安全性向上のために、横断歩道の地下化が進められている。これより、安全で快適な地下通路が構築されれば、車両との交差点事故が防止されて歩行者や車いすの安全通行が可能になると考えられる。しかし、地下通路を構築する際、従来からの施工法である開削工法や刃口推進工法を適用した場合には、広範囲の施工領域の占有が必要であり、輻輳する既設埋設物の影響で地盤改良が不十分な状況での施工が強いられる。また、矩形断面の掘削が可能なシールド工法を適用する場合には、施工距離が短いため経済性に劣るという問題点が挙げられる。
 これらの問題点を克服し、歩行者や車いす専用地下通路を構築するために、大中口径推進用ボックスカルバートの開発が要求されている。そこで本研究では、推進工法を用いてボックスカルバートを敷設した場合のボックスカルバートの耐久性及び地山の挙動について把握するために、三次元応力解析ソフト3D-σを用いて数値解析的に検討した。

2. 解析モデル
 解析モデルの一例を図1、2に示す。行った解析は@ボックスカルバートの形状に関する解析、A推進に伴う地山の挙動に関する解析の2種類である。
 解析に用いたボックスカルバート(以下、管と呼ぶ)は高さ、幅とも2.4m、長さDは2.0mとし、Aの解析については掘進機前方および余掘り部には土被り圧+20kPaの切羽圧を一様に作用させ、10m推進した場合のモデルにて解析を行った。解析にはMohr-Coulombの破壊基準を適用した。

 

 

3. 検討項目
  解析@では、管形状による応力分布の相違、管形状及び地山の摩擦抵抗の違いによる最大推進距離の影響、解析Aでは、推進に伴う地山の挙動の把握、土被りの相違による地表面沈下量の影響、等について種々考察を行った。


4. 解析結果及び考察
1) ハンチを付けたり、肉厚を大きくすることで、管に作用する応力を分散させることができる。
2) 図3に示す通り、管形状の変化、摩擦抵抗の変化により最大推進距離を増大することが可能である。
3) 推進に伴い、掘進機前方の地山は切羽圧により地表面は隆起し、掘進機後方は徐々に沈下する傾向にあり、図4に示す模型現場試験で得られた地山の挙動結果と一致する。
4) 土被りが大きくなるほど地表面への影響は小さくなる。土被りが小さいほど、切羽圧力が地表面への影響に大きく影響する。

 

 



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